ソニーのウォークマンは、当時、画期的な製品だった。「これぞソニーのすばらしい技術の証」と自己賛美しているソニー社員が多いようだ。
だが、
事実はその逆である。
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ソニーの技術は優れている、という定評がある
(あった)。たとえば、ウォークマンや、ベータマックスだ。しかし、実はそれは神話にすぎない。
ソニーはベータマックスでは大失敗し
た。これについて、
「技術は優れていたが、 VHS のようにグループの陣営を作ることに失敗したからだ」
という反省がソニー関係者
から聞こえる。だが、とんでもない勘違いだ。ソニーがベータマックスで大失敗したのは、経営戦略の失敗によるのではない。ソニーの
基本体質に
よる。それは「唯我独尊」という基本体質だ。
たとえば、当時、同業の某社が
ベータマックスの陣営に加わろうとして、ソニーのところに頭を下げに行った。そうしたら、ソニーはどうしたか? とんでもない高値の特許料を要求した。常
識はずれの高額であり、これでは商売が成り立たない。
要するに、ソニーは、高値を吹っかけることで、陣営への参加者を拒んだ。なぜか? 「自社
製品はものすごく優秀だから、必ず自社製品で世界を制圧できる」と自信満々になっていたからだ。
結果的に、某社の社長は、ソニーの会社を出た足
で、ビクターに行って、VHS 陣営に加わった。
(……以上の知識はうろ覚えの部分があるので、一部は不正確かも。) とに
かく、こういうことが続いて、VHS 陣営の会社がどんどん増えていった。その代表は松下電器。こうなると、両者はほぼ拮抗した。
また、他に、
別の点もあった。ソニーは、技術は優秀だったが、商品企画が下手だった。コンパクトサイズのカセットを作ったが、コンパクトすぎて、2時間録画ができな
かった。コンパクトさのために技術を優先して、ユーザーの要求を無視した。……当然、2時間録画のために、VHS
を買う消費者が増えてくる。で、最終的には、ベータマックスは完敗した。
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では、ウォークマンは、どうか? 実
は、これは、
ソニーの技術者が企画したものでは
ない。それどころか、ソニーの
技術者はこの規格に
大反対した。「スピーカーなしのテープレコーダーなんか絶対駄目だ」と。
ただし、ソニーの盛田会長が「どうしても作れ。私の首をかける」と言ったので、ソニーの技術者は、渋々、「スピーカーなしでヘッドフォンで聴く」という軽
量テープレコーダーを作った。その裏では、さんざん不平を言っていた。(たぶん、「こんなもの作ったって、どうせ売れっこないのにな。素人は困るな」と会
長の陰口をたたいていたのだろう。)
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関係者の証言 実を言うと、ソニーのウォークマンという商品のアイデアは、珍しくもなかっ
た。実際、そういう商品(スピーカーなしでヘッドフォンで聴くテープレコーダー)を、その数年前から、望んでいた人はいた。(通勤・通学のときに、語学学
習に使える。)
しかし、当時のテープレコーダーは、どんなに小型でも、必ずスピーカーが付いていた。「スピーカーのないテープレコーダーなんか
意味がない」というのが、技術者の信念であり、それはソニーの技術者も同様だった。
ただし、盛田会長だけは、
技術者でなく、
ユーザーの立場から、「こういうものがほしい」と要求した。本来ならば、素人の要求は、技
術者からは拒否されるはずだった。だが、この場合は雲の上からの要求であったがゆえに、どうにも拒否できなかったわけだ。
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以上のことからわかるだろう。ソニーの先進技術なんてものは、ほとんどは虚構である。虚構という言い方は悪いかもしれないが、とにかく、「ソニーは先進技
術ゆえに優れている」「ソニーは先進技術ゆえに画期的な商品を開発した」という神話は、全然成立しない。ベータマックスしかり。ウォークマンしかり。……
しかるに、その神話を信じているのが、今のソニーの技術者だ。
そして、その結果が、「ユーザー無視で、技術者の独走」という体質になって現れ
る。
独創性と独走性を、履き違えている。 そして、そのことが、今回の「ソ
ニー・リーダー」(
前項)からも見て取れる。あくまで自社のアイデアにこだわり、ユーザーのことなんか全然考えていない。「おれの
考えたものは優れているんだから、ユーザーはこれを使え」という立場である。つまり、「ユーザーが必要なものを提供します」という視点は皆無である。
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この点、スティーブ・ジョブズとは、全然違う。彼は、技術開発をするだけじゃなくて、商品としての魅力をとことん考える。ユーザビ
リティを最優先する。「
いかに使うか」という立場から考える。「
いかに作るか」ということばかり考
えるソニーとは全然違う。